チェインとは
今回はチェインのことを書いてみようと思います。リングと対になるパーツですね。日本では書籍や先生によってはブリッジと呼ぶこともあります。チェーンも同じ意味です。
タティングレースで言うチェインとは、1本の芯糸上に連なったダブルステッチのうち、始点と終点の位置が異なるものを指します。リングは初めと終わりが同じ位置になるので、開始点からほとんど移動できません。適宜チェインや渡し糸などを組み合わせることで色々なモチーフを作ることができます。
チェインに付けられる飾り
チェインにはピコ、フローティングリング(リングオンチェイン)やジョセフィーンノットを挿入することができます。これらを取り入れることで多彩な表現が可能になります。
チェインを編んだ後、目の寄せ加減によってカーブを調節できます
上記の写真はどれも 10ds-10ds のチェインです。一番左は編んだまま目を寄せなかったもの、3番目は私の通常の目の寄せ加減です。円に近いきついカーブのチェインを使いたい時は、通常よりも強く芯糸を引いて5番目の写真のようにすることもあります。
多くの作品では、3番目から5番目の寄せ加減から適したものを選択すると良いと思います。1番目のように全く目を寄せないとチェインの強度が落ちてフニャフニャしてしまうので避けたいところですが、ヘアピンカーブのように直線と強いカーブが両方必要なチェインには、例外的に使用することがあります。編み図に合わせて必要な形を再現性良く作れることが大事です。
チェインは編む人によって寄せ加減に個性が出やすいパーツです。そのため編み図の目数指定にも、作者さんの個性が出やすいです。もし、いま作っている作品がうまくいかなかったら、チェインの寄せ加減が編み図の完成写真と同じくらいになっているかも確認してみてください。
変形チェイン
通常とは違う編み方でチェインを作るテクニックとしては以下のようなものがあります。
スパイラルチェイン Spiral chain
前の半目だけ(あるいは後の半目だけ)を繰り返して作るチェインです。同じ編み方でリングを作ることもできます。糸の結び目はらせん状になります。
前の半目だけ数回編んでから後の半目だけを同じ回数繰り返すとノードステッチ Nord stitch、あるいはジグザグチェインといいます。半目の繰り返し回数にもよりますが、糸の結び目は片側に集まるので、裏面には凸凹がありません。
ロックステッチチェイン Lock stitch chain
前の半目を通常の編み方、後の半目をトランスファーせずに編むとロックステッチになります。前の半目をトランスファーなし、後の半目を通常の編み方にしても構いません。ロックステッチをチェインの代用として扱うとロックステッチチェインという呼び方になります。リングは作れません。通常のチェインと違い直線的な仕上がりになります。
ロールタティング Roll tatting, also known as Cord stitch, Wrappling
写真のように、糸を芯糸にただ巻き付けたものです。2回巻きつけるとおおよそダブルステッチ1個分の長さになります。チェイン、リング共に作れます。
サンプルを作って見たら、巻いた部分が元に戻ろうと動いてしまってとても作業しにくかった。使い所はよく考えないとダメかも。