11月!暖かい飲み物が美味しい季節になりましたね☕️
前回、染-marche という染色液の紹介をしましたが、その後も色々と試作をしてました。
今回はスペックルというテクニックについて書いてみます。今回の記事もマジで長いのでお暇な時にどうぞ。
スペックルって何?
スペックルは直訳すると斑点という意味で、毛糸の染色では粉の染料を使って糸を点状に染めることを指します。上の写真はレース糸にスペックルを染めたものです。染め方を変えるとスペックルの大きさや滲み具合をある程度コントロールできました。
やり方は簡単!濡らした糸に粉の染料を振りかけるだけです
スペックルの存在を知ったときは何て難しそうなんだと思いましたが、やってみると案外簡単。下の動画では指で染料を摘んで振りかけていますが、スプーンを使ったり、茶漉しのような小さいザルを使う人もいます。
私は「技法用染料リアクト」という染料を使いました。発色が良いそうです。
- 染色できる素材 綿、レーヨン
- 染色温度 40〜60℃
- 染色時の添加剤 食塩と添付の定着剤
この記事での染色条件
下記染色条件は、説明書とだいぶ異なっています。ご自分で染色する際は説明書をよく読んで実施してください。
- 道具
染料(リアクト)
水道水
食塩
計量カップ
トング、熱いお湯で糸を洗う時に
プラスチック製の容器、電子レンジ加熱用
蒸し器、セイロなど
タオル類、汚れてもいい布
ゴム手袋
マスク、肺を守るため、できればグレードの良い物
- 定着液Aを作る
水 400mL に食塩 15g, 染料に添付された定着剤 10g を溶解したもの
温度が低いと溶けにくかったので水道から出した水200mLと沸騰した水200mLを混ぜてから食塩と定着剤を入れています。 - 染色前の準備
レース糸を水道水で濡らし、軽く絞ってから定着液Aに浸しておく - 染色方法
次の章で紹介しています - 染色後の後処理
レース糸を水が透明になるまで洗う
続いて定着液Aにレース糸を浸し、電子レンジで60℃程度に温める
その後、食器用洗剤を溶かした60℃のお湯で洗う
乾燥させて染色完了 - 素人の作業なので誤りや不要な工程があるかもしれません。今のところ染まった糸を編んでも手に色が付くことはなかったです。説明書を読む限り染色時は食塩と定着剤を入れなくても、水道水だけで染まるようです。
2種類の染め方を試してみました
1、水に浸した状態で染める
プラスチック容器の中で、定着液に浸した状態でスペックルを染めてみます。
左からグリン、ダークブロン(ダークブラウン)、レッドを使用して染色しました。染色時の糸の温度は室温でした。
染料を定着させるため、40〜60℃に加熱します。今回は電子レンジを使用しました。900w, 40秒程度。加熱時間が長すぎて沸騰しちゃってました。
うーん、思ったより色が広がって、なんか汚くなっちゃった。隣の色と混ざってしまっていますね。毛糸みたいに1kg単位で染色するなら水浸しで染色してスペックルを入れてる動画がいっぱいあるのですが、数gのレース糸を染めるには不向きのようですね。
色止め作業や洗浄をした結果は下記。
赤はカワイイかもしれない。染料が全体に広がってしまってスペックルとは言いづらい状態になってます。もっと小さい粒状に染めたいですね。
2、蒸し器を使う方法
もっと良い方法はないかとインターネットで毛糸のスペックルについて調べたところ、蒸し器で加熱する方法がありました。
この動画ではスペックルの粒がとても小さいですよね。蒸し器を使って少ない水分量で加熱するのがコツみたい。染料を振りかける時の毛糸は液ダレする様子がなく、さっき試した方法よりもだいぶ水分量が少ないです。これだ!と思って真似させてもらいました。
蒸し器を使ってスペックルを染める
蒸し器とサラダスピナーを買ってきました。近所のお店 3COINS で蒸し器 550円、サラダスピナー 660円でした。食事を作る場所と染色の作業スペースが混ざるのがイヤで、蒸し器は電子レンジで加熱するタイプを選んでます。
白い糸を2束用意して定着液に漬けておき、片方は絞らずにそのまま蒸し器の上へ。もう片方はサラダスピナーで簡易的に脱水してから染色します。
色の滲み具合が糸の水分量で変化していますね。左端はグリン(グリーン)、真ん中はオリーブグリーン、右側がブロン(ブラウン)という色で染めました。画面外の右側にパープルの部分もあります。
加熱して色を定着させます
染料を撒き終わったら、糸を色の定着に必要な40〜60℃まで加熱します。今回は蒸し器の下段にお湯を入れて、電子レンジ200w, 3分加熱しました。たぶん、普通のガスコンロでお湯を沸かすタイプの蒸し器の方が染めやすいだろうな、と思います。電子レンジだと加熱しすぎて糸が干からびることがあったので、環境が許せば普通の蒸し器をお試しください。
下の写真は加熱後の様子です。糸が濡れたまま染色すると滲んだ色が混ざり合ったスペックル、軽く脱水した方は滲みつつも粒感が残るスペックルになりました。最初に試した水浸しの条件より、ずっとコントロールしやすいですね。脱水具合でスペックルの表情が変えられることがわかったので、使い分けが楽しみです。
色止め処理をして、よく乾燥させたら染色完了です。
余談ですが、スペックルの染色は糸束の上半分しか染まりません。全体的に満遍なくスペックルを入れたいときはひっくり返して裏側も染色してくださいね。
スペックル染色の糸は、実際に編んだらカワイイのか?
手染め毛糸って、カセのときはとんでもなくカワイイのに編んだらそうでもない😔っていうこと、あるじゃないですか。mixのレース糸も糸玉の時と編んだ後で印象の違う糸が多いですよね。というわけで試し染めした糸を編んでみましたよ。
染色に使用したのは Lizbeth size20です。ダブルステッチ半分から3個分ぐらいのスパンで激しく色が変化していきます。
どうですか? 私は満足😊 これにベースの染色やグラデーションを入れればもっと素敵になりそうです。例えばこんなのとか。あれこれ試したくなってしまいますね。
右側の糸は毛糸のメーカー malabrigo の Rios 276 を真似してみました。再現度はイマイチ。本家はとてもエモい毛糸なので、ぜひリンク先でご覧ください。
もっと細かいスペックルを作るには
今までの試作で、染色時の水分量の違いでスペックルの滲み具合が変化するとわかりました。加熱の強さも滲み具合に影響がありそうでした。もっと小粒のスペックルが欲しいときは、水分量は少なく、加熱を控えめにすると良さそうですよね。加熱が足りないのを補うため、染色後にしばらく放置する工程が必要かもしれません。ちょっとずつ検討していきたいです。
それから、粉末染料をそのまま振りかけると、どうしても糸が濃く染まってしまいます。その場合は染料と賦形剤(嵩増し用の粉末)を混ぜて使うと良かったです。賦形剤は染色時に使用する塩や定着剤などから選ぶと良いでしょう。染色の邪魔になりにくいです。リアクトだったら染料と定着剤の粉を1:4とか1:10くらいの比率で混ぜると、粒子の大きさが近くてちょうど良く粉が薄まるので扱いやすかったです。
下の写真の色が濃い粒は染料、白い粒は嵩増し用の定着剤です。
嵩増しする方法も手染め毛糸のYoutube動画の受け売りです。下記動画をご参考まで。日本語字幕も表示できますよ。
染料ごとに特徴があるようです
今回使用した染料リアクトは複数の色の粒を配合したものを1色として販売しているので、1色使うだけで2〜3種類の色に分離して染まります。面白い特徴ですよね。弱点としては狙った単色が作れず色が分離してしまうこと。緑系の色は青と黄、茶系は赤、青、黄、に分離します。緑や茶色のスペックルを作りたいときは、染料をたくさん使うか、糸に水を多めに含ませて染料を滲ませる必要がありました。紫はなぜか分離なしで紫1色に染まります。不思議。
他の染料だと、例えば Rit は粉の作り方が違うのか粒子がとても細かく、全体的に明るい色が多くて単色で染まる印象です。ちょっと温度管理が大変で記事にするほど情報をお出しできませんが。ケリーグリーンがお気に入り。他のメーカーも試してみると楽しそうですね。
すいません。まだ続きます、、笑
まだネタが尽きなくて、もう1記事書くつもりです。
液体染料でグラテーションを作る方法をお試し中です。初めのうちは写真の上中みたいな染まり方でしたが、練習して下のカセのように均一なグラデーションを作れるようになりました。
もう少し長いグラデーションができるようになったら記事にしますね。